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おいしい結婚

おいしい結婚

1991年5月18日(土)公開
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Introduction

 結婚――それは人生最大のセレモニーであり、人々は永久不変の営みとしてこれを祝ってきました。しかし、青春の結晶であり、その後の人生を導く分岐点である〈結婚〉が近年大いに揺らいできています。身長・学歴・収入の“三高”重視、シングル指向の上に子供だけは欲しいという女性側の欲求はエスカレーションする一方です。男性側はといえば、女性の要望に応えようとマニュアル本を漁り読み、ひたすら浪費を重ねる有様の上、適齢期の男女比の崩れで20人に1人は結婚できない“結婚難民”時代となりました。  そして、結婚式もますます大掛かりになり、ヒトよりモノの風潮が〈結婚〉をさらに侵食しています。不滅のテーマである〈結婚〉がこんなことでよいのでしょうか!  「おいしい結婚」はそんなヒト不在モノ優先の結婚に正面から取り組み、新たな結婚のありようを日本映画最高のスタッフ・キャストで堂々と描いた作品です。物語は娘の結婚という日常の一大事をめぐって展開します。条件のいい見合い話を薦める母に対し、娘は相手は自分で選びたいと考えています。その母子の結婚観の違いに恋人やその父、母の友人たちがからみ、最良質のヒューマン・ストーリーが奏でられます……。  脚本・監督は日本映画のエース・森田芳光。『の・ようなもの』でデビュー以来10年、『家族ゲーム』や『ウホッホ探検隊』(脚本)などの作品で追究してきた〈人間同士のコミュニケーション〉を描く集大成として〈結婚〉に挑んだもので、「結婚とは生命保険のようなモノではなく、新しい人間関係、ネットワークを広げるもので、本人同士だけでなく、2人を取り巻く人間関係こそ、本当の“おいしい”結婚なのだ」との独特の切り口から、こころ暖まるエンターテインメントを創り出しました。  そして母親役には大女優の円熟をますます高めている三田佳子、娘役には若手女優No.1の輝きを放つ斉藤由貴の夢の初共演が実現しました。老若男女を問わず広いフアン層を待ち、大学生の理想の母親像No.1に選ばれた三田佳子が矢頭美栄子に扮します。「娘の結婚に生き生きと関わる90年型の母親像をチャーミングに」と、『別れぬ理由』や『極道の妻たち』などの映画で演じてきたキャラクターとは180度変わった若々しく、しかも自立した母を豊かに演じました。  一方の斉藤由貴は実際の年齢と同じ設定ののんを、「テーマが余りにも身近かすぎて本当に難しかった」と言いつつも、前作『香港パラダイス』で見せたアクションとはガラリ違った等身大キャラクターを鮮かに表出しました。  結婚相手の川又保にはTVドラマ等で人気急上昇中の唐沢寿明が抜擢されました。舞台で認められた実力を爽やかに発揮し、ニューヒーロ一誕生を思わせる個性を光らせます。そして保の父・重樹には田中邦衛。その渋い個性と実力は勿論知られるところですが、本作は微妙な心理の綾を見せる花婿の父を巧みに演じて、ドラマに陰影を与えています。  また美栄子の亡き夫の友人、3人組には小林稔侍、斎藤晴彦、橋爪功が配され、いずれ劣らぬ芸達者が絶妙のアンサンプルで母娘に関わる笑いと情感を醸し出します。ほかに、南美江、結城美栄子、入江若葉らベテランや実力派、新人・成田路実、枚浦佐紀、白鳥靖代ら若手が勢揃いして華麗な人間模様を繰り広げるものです。  豪華キャストに加え、スタッフも超一流の名手が集まりました。撮影・前田米造、照明・矢部一男、録音・橋本文雄、美術・今村力、編集・川島章正ら、“森田組”メンバーが揃い、その実力が最高に発揮されたのです。また音楽は野力奏-、主題歌はASKAの最新大ヒット「はじまりはいつも雨」がドラマを一層盛り上げます。  企画は『それから』で数々の栄誉に輝き、『快盗ルビイ』『どっちにするの。』『香港パラダイス』と日本映画で新しい挑戦を続けるサンダンス・カンパニー。製作は『それから』『快盗ルビイ』『どっちにするの。』『香港パラダイス』の藤峰貞利。

Story

 東京で質屋(=マネートランジット・セブン)を経営し、鎌倉に実家がある矢頭美栄子には、適齢期を迎えた一人娘・のんがいた。早くに夫に先立たれた彼女だったが、挫けることなく店を切り盛りし、のんを立派に育てたのだが、いま一番の望みはのんに幸せな結婚をしてもらいたいということだった。  美栄子には強い味方がいた。山内・小野・田宮、3人のボーイフレンドである。彼らは亡き夫の学生時代の親友であり、美栄子は彼らのマドンナだった。そして山内らにとって、美栄子とのんの母娘の面倒を見ることは過ぎ去った青春の熱き日々を想い、淡い恋心を振り返ることが出来る幸せな行為だった。  それぞれに家庭があるにもかかわらず(山内だけは妻に先立たれ、息子と二人暮らしだが)、彼らは何かにつけて母娘のもとを訪れた。ある日3人が“三高”の条件にピッタリの見合い話をそれぞれ携えて鎌倉の家にやってきていた。のんを幸せにすることは美栄子を幸せにすることに他ならないのだから……。  ところが、肝心の、のんは、叔父さんたちの親切は有難かったけれど、見合いは自分の結婚観には合わないのだった。彼女は見合いを断わる口実として、苦しまぎれに好きな人がいると言ってしまう。「何故もっと早くに言ってくれないの」と収まらない美栄子と3人組。そして「その恋人とやらに会わせろ、品定めをしようじゃないか」となってしまう。  その場の勢いで口走ってしまったのんは困りはてて、会社の同債の川又保に臨時の恋人役を頼みこむ。2人は会社の陸上同好会に所属していて、のんは円盤投げ、保は長距離の選手で会社内外で会うことも多く、お互いに気になる存在ではあっても、なかなか素直な関係として進展出来ずにいた仲だ。  「うまく芝居してね」とのんと保は、おっかなビックリで美栄子と3人組のもてなしを受けたのだが、意外やこれが大好評を呼び、のんと保の仲は急速に発展してゆく。互いに好意を持っていたという下地はあったわけだし、保の積極的なリードもあって、ついに本物のプロポーズがなされた。  ヒョウタンから駒とはいえ、保と結ばれることになり幸せに満ちた娘を美栄子は心から祝福するのだった。もとはと言えば、美栄子の積極さが秘められていた恋を実らせたのである。改めて美栄子に感謝し、結婚式への期待と不安を語る娘に、美栄子は「どんどん手伝うわよ」と嬉しそうに語るのだった。  亡き夫との結塘武が、仕事が最優先の時代で、つつましやかに行われ、楽しい想い出の少ない美栄子は、娘ののんには最高のメモリアルになる結婚式を挙げさせたいという思いがあった。彼女は張り切って保の父・重樹に会いに行った。ところが彼は全くの無関心で、「どうぞ勝手にやって下さい」と言う。何か訳がありそうだが、必ず説得して式には出させよう、自分がやりとげねばと意気込み、マニュアル本やらビデオを買いこみ“正しい結婚”の研究に美栄子は没頭する。  ところがままならぬもので、やれ仲人だ、結納だと周りは一生懸命なのに当事者であるのんと保は、式場の決定でモメ、結納が面倒だとモメ、将来の人生設計でモメる始末。挙句のはては、お好み焼きの焼き方で大ゲンカし、自分たちの結婚式ははたしてうまくゆくのかしら? と悩みを抱えこんでしまう。  そして、美栄子が川又重樹の結婚に対する負い目をとり払ってやり、結納の席に引っ張り出したのもつかの間、のんが突然披露宴をヤメにしたいと言い出したのだ。会社の同僚の披露宴に保と一緒に出席したのんは、結婚式の現実というものにすっかり失望してしまった。これには保も同意見だった。結婚をお知らせしますというだけの会ではなく、出席した人に本当に喜んでもらえる心のこもった結婚式を挙げたい、マニュアル風の結婚はやっばりイヤだ、と若い2人は確信したのだ。  のんと保の突然の心がわりに、美栄子と3人組の苦労は水の泡となり、目の前の結婚式は宙に浮いてしまう。しかし美栄子には2人の心情が分からぬでもなかった。彼女もつい先頃、店に来る客の結塘式に出席し、のんたちが味わったのと同じ失望感を抱いてしまったからだ。  いったい2人が言うような全ての人が喜びを分かち合うような結婚式とは、どんな結婚式なのか?  そして2人は本当に幸福な〈おいしい結婚〉にゴールすることが出来るのだろうか……美栄子ものんも、重樹も保も、また3人組も、考え、心をくだき、みんなの心がひとつになる〈結婚式〉を創り出そうとした……。

Credit

監督:森田芳光 製作:藤峰貞利(古澤利夫) アソシエイト・プロデューサー:木村典代 音楽:野力奏一 出演:三田佳子、斉藤由貴、唐沢寿明、田中邦衛、橋爪功、小林稔侍、斎藤晴彦 企画:サンダンス・カンパニー 配給:東宝 <受賞リスト/1991年度> ■キネマ旬報賞 新人賞(唐沢寿明) ■日本アカデミー賞 優秀助演男優賞(橋爪功)・新人賞(唐沢寿明) 受賞

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