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OUT

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2002年10月19日(土)公開
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Introduction

最悪のチャンス!――女はいつでも生まれ変われる 直木賞作家、桐野夏生の傑作ベストセラー 新たな構想のもとについに映画化!!  93年に「顔に降りかかる雨」で第39回江戸川乱歩賞を受賞し、ミステリー界にデビューを飾った桐野夏生。女性作家ながら硬質でスタイリッシュな文体と骨太なストーリー構成は、各マスコミ、読者からの高い評価を獲得した。99年には「柔らかな頬」でミステリーという領域を越えた濃密な人間ドラマを描き第121回直木賞を受賞し、今やエンターテインメントのみならず、現代の文壇を代表する作家となった。  『OUT』は97年の発表直後から、マスコミの話題をさらった作品である。「主婦は料理に慣れているから、死体をバラバラにするのは男性より抵抗がないはず」という女性ならではのユニークな着想から生まれたストーリーは、当時はまだ特異な事件ともいえた“主婦たちの犯罪”を取り上げた点と、彼女たちによるショッキングな死体解体の描写で話題を集めた。同作は、98年度版の「このミステリーがすごい!」の第1位、週刊文春のミステリーベスト10の第2位に選出され、98年度日本推理作家協会長篇賞を受賞した。  しかし、この小説は現実を予見したかの如く、我々の身近でも次々と似たような事件が起こり始めた。和歌山の保険金殺人、佐賀の子殺し、護国寺お受験殺人、最近では、久留米の女性4人組の保険金殺人等、そのどれもがごく普通の主婦たちが引き起こした犯罪であった。平穏なはずの暮らしに、ある日ぽっかりと空いた落とし穴。それは明日、我が身にも起こるかもしれない悲劇。『OUT』の物語は、俄然リアリティを増して再び注目されることとなった。リストラによる家庭崩壊、老人介護、カード破産、ドメスティック・バイオレンス、ヒロインたちが抱えるこれらの問題は、同時に現代社会を生きる人々に起こり得る問題でもあるのだ。今だからこそ、『OUT』は満を持して映画化されることとなった。  監督を務めるのは、俊英・平山秀幸。『ザ・中学教師』では学校教育の問題、「学校の怪談」シリーズでは都市伝説と小学生のリアルな日常を描いた後、97年の『愛を乞うひと』では幼児虐待というハードな題材を扱いながらも、巧みなストーリーテリングと圧倒的な映像喚起力でエンターテインメントに仕上げた力量は、キネマ旬報日本映画監督賞・日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞をはじめ、国内外の69もの映画賞で評価された。すでにTV版(フジテレビ)と舞台版(自転車キンクリート)が存在するこの原作に取り組む上で、平山監督は語る。「単に事件を追いかけるだけならば、ノンフィクションにはかなわない。あくまでも、大人の娯楽を目指した作品に仕上げたい」。脚本を「愛を~」でもコンビを組んだ鄭義信が担当、原作のスピリッツを生かしながらも、映像ならではのダイナミズムとカタルシスを念頭に大胆な脚色を施した。鋭い人間観察でも定評のある鄭は日常のディティールに徹底的にこだわり、キャラクターの魅力を最大限に引き出している。さらに、随所に盛り込まれた笑いのエッセンスが、物語に突き抜けた開放感をもたらしている。  平山演出のもと、エネルギッシュなヒロインたちの活躍が、想像を上回るスケールの中で展開していく新生『OUT』が、ついにその胎動をはじめた。 バイタリティー溢れる4人の女たちが挑む スリリングで爽快な脱出活劇。  東京郊外にある弁当工場。夜明けまで繰り返される流れ作業を続ける深夜パートの主婦たち。その中に混じって、4人の女たちがいる。香取雅子42歳、吾妻ヨシエ51歳、城之内邦子40歳、山本弥生30歳。彼女たちにとって、日々の暮らしに夢や期待を抱く時期はとうに過ぎ去った。繰り返されるのは、人生への耐え難い不安と澱のように溜まっていく失望だけ。  雅子は、亭主のリストラによる家族の家庭内離散。ヨシエは、亡き亭主が残した痴呆症の義母の介護。邦子は、独り身の孤独を埋め合わせるようにブランド品を買い漁ったツケのカード破産。弥生は、ギャンブル狂の亭主から受ける暴力。誰もが心で悲鳴を挙げていた――「こんな暮らしから、抜け出したい!!」。深夜の弁当工場は、彼女たちがそんな生活から一時でも解放される場所であった。  そんなある日、女たちの一人が日常の境界線を踏み越えてしまう。弥生による亭主殺しである。  弥生の告白で事件に巻き込まれていく雅子、ヨシエ、邦子。隠蔽工作のため、彼女たちは死体の解体作業をはじめる。はじまりは、友情や共感ではなく、弥生から貰う報酬が目当てであった。まるで、弁当の詰め込み作業のように、新しいパート・タイム・ビジネスとして死体を切り分けていく女たち。ドライな関係と割り切っていたはずが、4人は次第に奇妙な連帯感で結束していく。秘密を共有した女たちは、はじめて自分の胸のうちを語れる同志を得たのだ。  一方で、事件の秘密を知ったやくざと刑事たちの執拗な追求が迫る中、彼女たちは閉塞した状況から抜け出すためにそれぞれの人生への闘いを強いられていく。  『OUT』が描くのは、犯罪そのものではない。人生の崖っぷちに立たされた女たちが絶体絶命の状況を乗り越えて、新たな人生に踏み出していく再生と出発の物語なのだ。時には友情で、時には金で繋がり、協力し、いがみ合いながら運命を共にする女たちの強かな生きざまこそが、ギリギリのスリルとユーモアの中で描かれていく。4人のバイタリティ溢れるキャラクターが、この物語を爽快な脱出(=OUT)活劇に仕立てている。  4人のヒロインを演じる女優には、メジャーからインディペンデントまで、すべての日本映画を支える錚々たる顔触れが揃った。香取雅子を演じるのは、平山監督の『愛を乞うひと』で二世代にわたる対極の女の生きざまを二役で演じ分け、その年の映画賞を席捲した原田美枝子。吾妻ヨシエを演じるのは、『楢山節考』『うなぎ』をはじめ数々の作品で多くの映画賞を受賞し、ベテランとしての貫禄を見せる倍賞美津子。城之内邦子を演じるのは、映画、テレビ、バラエティと幅広い活躍を続ける一方、エッセイストとしても才能を発揮する室井滋。山本弥生を演じるのは、『ひみつの花園』でのコミカルな演技で話題を集め、『ナビィの恋』を経て女優として鮮やかな成長を遂げた西田尚美。この4人のアンサンブルによって、それぞれのキャラクターがより深く掘り下げられ、女たちの集団劇としての魅力も格段と増している。 日本映画界最高の才能が集結 比類なきエンターテインメントの誕生。  主要キャストの4人を取り巻く登場人物にも、個性豊かな俳優陣が揃った。ローン会社を経営する一方で雅子に心を寄せ、秘密のパートを依頼する十文字彬には、『独立少年合唱団』で毎日映画コンクール男優助演賞を受賞し、大河ドラマ「利家とまつ」でも脂の乗った演技を見せる香川照之。寡黙な中に狂気を宿したやくざの幹部・佐竹光義には、国民的コメディアンにして、孤高のランナーというストイックな一面を持つ間寛平。そのほかにも、『殺し屋1(イチ)』の大森南朋、TV・映画と活躍する小木茂光、数々の作品で味のある演技をみせる千石規子、TV「HERO」で注目されたバイプレイヤー田中要次など、ひとクセもふたクセもある多彩な共演者が脇を固めて、白熱した競演を見せている。  スタッフには、日本アカデミー賞最優秀賞に輝く映画界トップクラスの才能が結集した。脚本は、キネマ旬報脚本賞、菊島隆三賞を受賞した『愛を乞うひと』に続き、平山監督とは二度目のコンビ作となる鄭義信。卓抜したキャラクター造形と、思わず笑いを誘うダイアローグがハードなドラマに独特の清涼感を生み出している。撮影は、『学校の怪談』『ジュブナイル』の柴崎幸三。『ザ・中学教師』以降、ほとんどの平山作品を支えてきた彼は、演出を心得たカメラワークと美しさと力強さを併せ持つ映像センスで物語を牽引していく。照明には、『居酒屋ゆうれい』『ターン』の上田なりゆき。柴崎カメラマンとのコンビ作も多く、今回も息の合った連携プレイで現場の中核を担う。美術には、『家族ゲーム』『東京日和』の中澤克巳があたり、ヒロインたちの閉塞した状況を象徴する居住空間を効果的にデザインし、後半の開放感に向けてのコントラストを鮮やかに打ち出していく。録音は、『月とキャベツ』『非・バランス』の繊細な音作りで定評の高い田中靖志。編集は、『金融腐蝕列島[呪縛]』『地雷を踏んだらサヨウナラ』ほか数々の作品で映画賞を受賞するベテラン川島章正が担当する。音楽を手掛けるのは、『GONIN』『HYSTERIC』など、石井隆、瀬々敬久監督作品を中心に楽曲を提供してきた安川午朗。

Story

 東京郊外にある弁当工場。そこで働く4人の女たちがいる。香取雅子(原田美枝子)、吾妻ヨシエ(倍賞美津子)、城之内邦子(室井滋)、山本弥生(西田尚美)である。  雅子は、リストラされた夫との夫婦仲も冷え切り、息子とも会話が無い家庭崩壊状態。ヨシエは、亭主に先立たれ貧しい生活の中、寝たきりの姑・千代子(千石規子)の介護に追われる毎日。邦子は、カード破産してもなおブランド品を買いあさり、ローン会社の男・十文字彬(香川照之)をはじめ数々の消費者金融に多額の借金をしていた。弥生は、妊娠8ヶ月の体で、ギャンブルで貯金を使い果たした夫・健司(大森南朋)からの暴力に耐える生活を送っていた。 −−それぞれに問題を抱える彼女たちに、人生を変える大事件が起こる。  雅子のもとに、弥生が泣きながら電話をかけてきた。弥生は、健司の暴力に耐えかねて、彼が寝込んでいる間に思わず絞め殺してしまったのだ。子供のためにも捕まるわけにはいかない、という弥生の言葉に気圧されて、雅子は仕方なく健司の死体を車のトランクに隠す。ところが、弥生は雅子に死体の処理を押し付けると、工場にも姿を見せなくなってしまった。  困った雅子は、健司の死体を解体して、生ゴミと一緒に処分することを思い付く。それには、誰かの協力が必要だ。雅子は、工場のパート仲間で“師匠”と慕うヨシエに、助けを求めた。ヨシエは、渋々ながらも協力することとなる。雅子とヨシエは、雅子の家のバスルームで死体を解体する。そこに、邦子が借金の申し入れに現れた。狼狽する雅子たちを怪しむ邦子。雅子は、邦子をバスルームに連れ込むと、弥生から報酬を貰ってあげると約束して、仲間に引き入れた。  そして、死体の解体を終えた3人は、それぞれにビニール詰めにした死体を持ち帰った。  数日後、雅子は、テレビのニュースで死体が発見されたことを知る。邦子がずさんな捨て方をしたせいであった。しかも、邦子は死体を処分した代わりに、弥生を十文字の借金の保証人にしていたのだ。  弥生のもとに、死体の身元を割り出した刑事たちがやって来た。警察の捜査では、健司が通いつめていたカジノのオーナーで、殺人の前科がある佐竹光義(間寛平)に容疑がかけられていた。  雅子は、捜査の手が自分たちに及ぶ前に、邦子を連れて十文字の手に渡った保証人契約書を取り戻しに行く。その行動を怪んだ十文字は、邦子に借金を帳消しにする代わりに真実を話すように迫った。誘惑に負けた邦子は、すべてを十文字に告白してしまう。  十文字からの呼び出しを受けた雅子は、死体処理のビジネスを持ちかけられた。十文字は、ビジネスだけでなく、自分と堂々と渉り合う雅子にも好意を寄せ始めていた。  雅子は再び、ヨシエと邦子と共に死体解体をすることとなった。十文字の持ち込んだ死体を、弁当工場の作業のように処理していく3人。死体処理を終えた十文字から、3人に報酬が手渡された。健司の死体処理から始まった彼女たちの行動は、思わぬ方向に転がりはじめていた。  事件から2週間ほどが経ったある日、弥生のマンションの玄関にコンビニのビニール袋が置かれた。袋の中を覗いた弥生は、思わず悲鳴を挙げた。そこには、人間の手首が入っていた—佐竹によって切断された、十文字のものだ!!   罪を着せられた佐竹の復讐の手が、雅子たちにもじわじわと迫りつつあった。  ギリギリの状況に立たされた4人の女たちは、最悪な人生からの「OUT」を賭けて、それぞれの闘いを決意していく……。

Credit

監督:平山秀幸 原作:桐野夏生 脚本:鄭義信 製作:古澤利夫、木村典代 製作総指揮:諸橋健一 撮影:柴崎幸三 照明:上田なりゆき 美術:中澤克巳 録音:田中靖志 編集:川島章正 音楽:安川午朗 出演:原田美枝子、室井滋、 西田尚美、香川照之、間寛平、大森南朋、千石規子、倍賞美津子 企画:サンダンス・カンパニー 配給:20世紀フォックス映画 <受賞リスト/2002年度> ■毎日映画コンクール 監督賞(平山秀幸)・脚本賞(鄭義信) ■日刊スポーツ映画大賞 助演男優賞(香川照之) ■キネマ旬報日本映画ベストテン 第4位 ■日本映画ペンクラブ賞 会員選出日本映画第3位 ■日本アカデミー賞 優秀監督賞(平山秀幸)・優秀主演女優賞(原田美枝子)・優秀助演女優賞(倍賞美津子) 受賞 米アカデミー賞外国語映画賞 日本代表に選出

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