
1997年の中国返還を間近にして、熱気と噴嘆をさらに高めている香港――23歳の湯川真美子は、このミラクルな国際都市を案内するツアー・コンダクターであり、香港⇄東京を結ぷ奇想天外なノンストップ・アドベンチャーへと誘う、元気で魅力的なヒロインです。彼女はツア・コンとしてはまだまだ駆け出しです。香港へのフライトも実は初めてなのです。 しかし、ツアー最初の夜、真美子はまさに香港ならではの不思議な出来事に遭遇します。得体の知れぬ男達が必死で追いかけている盗まれた秘宝のありかを示すキーワードを、そうとは知らず知ってしまうのです。香港での-夜で≪数億円の価値ある女≫になってしまった貴美子。ロマンを秘めた2対の秘宝〈キング&クィーン〉は香港?それとも東京?? そして真美子をめぐって現れる謎めいた男達。敵か味方か言葉巧みに彼女をエスコートしてゆく不思議な男・大石。頭が切れ、腕が冴える若い二枚目・氷室。そして凶暴そのものの男ども……スリルとユーモアと過激なアクションが、洒落た感動的な恋をはさんでハイ・ピッチで展開する、徹底したエンターテインメント作品です。 ヒロイン・湯川真美子には斉藤由貴。定評ある彼女の“動”の魅力をさらにエスカレーションさせて初の本格的アクションに挑みます。また新作『君は僕をスキになる』で見せた大人のキャラクターをボリューム・アップし、胸せまるラブ・ストーリーも演じます。 敵か味方か、本心を見せずに真美子をリードする不思議な男・大石八郎には小林薫が扮します。文芸作から異色作まで多彩に映画フィールドを駆ける彼が、この新作では新たなる演技と、大人のロマンスの境地を見せてくれます。 そして、この二人にからむ謎の男・氷室は、音楽世界から映画初挑戦となる大沢誉志辛が演じます。ワイルドな個性派ミュージシャンとして根強い人気を誇る彼の、インパクトの強い魅力が、アドベンチャーの興趣をさらに盛り上げます。 またTVに映画にCMに、バラエティにドラマにと大活躍の張り切り娘・井森美幸も大石にからんだ秘書・水沢かおりとして出演します。現代そのものといえる彼女のフレッシュな個性が、ドラマのピッチをさらにアップさせます。 監督はカルト・ムービー『1999年の夏休み』で海外からもその才気を注目され、また昨夏の青春映画『どっちにするの。』でも大ヒットを生んだ日本映画の若き旗手・金子修介が初のアクション映画に挑戦します。脚本は同監督と『まんだら屋の良太』の高橋正康、そして長谷川隆の共作。 撮影監督は『風の又三郎』『どっちにするの。』の高間賢治、美術監督は、『本覺坊遺文・千利休』『ジパング』の大ベテラン・木村威夫、録音も『それから』『快盗ルビイ』『キッチン』の大ベテラン・橋本文雄、照明は『どっちにするの。』の吉角荘介、編集は『私をスキーに連れてって』『快盗ルビイ』『どっちにするの。』の冨田功。主題歌は目下人気急上昇中の「GO-BANG’S」。北海道生まれの3人組のビートの利いた歌がドラマのテンポを早めます。音楽は『友よ、静かに瞑れ』『それから』の梅林茂が担当。 企画は『それから』で数々の常に輝き、『快盗ルビイ』『どっちにするの。』で大ヒットを呼ぶとともに日本映画の新たな展開へのアプローチを続けるサンダンス・カンパニー。製作は『それから』『快盗ルビイ』『どっちにするの。』の藤時貞利。気鋭の苦手と映画を知り尽くした大ベテランがミックスされた意欲溢れる撮影クルーが組まれました。 魅力溢れる東洋の二大国際都市・香港と東京をジョイントし、謎とロマンを秘めたアクションとともに主人公達のキャラクターが表出し、ドラマのうねりとともに情感が昂まる、90年代の先頭を突っ走るネオ・エンターテインメント作品です。その息もつかせぬ面白さとリズム感は、ローティーンから熟年層まで、男女を問わず幅広くアピールする、ゴールデン・ウイークの話題作です。
湯川真美子は、パリに憧れる23歳のツアー・コンダクター。つい最近つきあっていたボーイフレンドと別れ、ガックリきているところに命じられた添乗は花の都ところか、一度も訪れたことのない香港だった。 しかし気を取り直して張り切る真美子だったが、客は皆ツアーずれした連中で、真美子は皇室ロマンスの最中に失踪事件を起こして世間を騒がせている“北白河家のお嬢さん”に似ているとからかわれたり、前途多難を思わせるフライトだ。そんなツアー客の中の唯一のダンディーな男・安東だけが真美子の慰めだった。 “香港の秘宝〈キング&クイーン〉盗難の捜査進展せず”のニュースが流れる香港に着いた一行に、得体の知れない男・大石がまとわりついてくる。ベテランのふりをして警戒を怠らない真美子。夕景が美しいディナーが予定されている水上レストランにも現れた大石は、客の誰かを探っているようだ。追い払おうとした真美子だが、はずみで海に落ちてしまう。彼女を助けたのは安東だった。そんなきっかけで、安東は真美子にツア・コン終業後のデートを申し込むのだった。 だが実は安東は〈キング&クイーン〉盗難に関わる男で、香港トライアッドの洪カンパニーを手玉に取って盗品の転売をもくろんでいるのだ。 そんなことはまるで知らない真美子は、デート先の公園の雑踏の中で安東を待っていたが、そこに現れたのは大石だった。「安東には気をつけた方がいい」「関係ないでしょ」……真美子はちょうど姿を見せた安東に駆け寄るが、安東はいきなり真美子を強く抱き締めて何かを囁いた後、胸から血を流して崩れ落ちた。貴美子の悲鳴にかぶさる人の波……。 「逃げるんだ!」と真美子の手を引いたのは大石だった。ニ人を追うのは目付きの鋭い数人の男達。大石が、真美子に安東から聞いた言葉を問い質す間もなく、追いつめられた二人は手近なビルの裏ロヘと逃げ込んでゆく。そこはとある劇場の楽屋だった。真っ暗な中で回転扉に寄りかかった真美子はあっという間に扉にすいこまれてしまう……なんと彼女が飛び出したのは中国魔術ショーの舞台上だった。 そして飛入りゲストと聞達われ、「アナタハ名家ノオ嬢サマ」と言われて強烈な催眠術をかけられ、ナイフ投げの的にされてしまう。そこへ大石と追っ手が同時になだれ込んできた。間一髪で再び貴美子を取り戻した大石は、逃げる車の中で安東の言葉を聞き出そうとするが、彼女は催眠術のせいでまるで記憶を失っていた。自分の名前も、香港にいることさえも分からない彼女にガク然とする大石。 彼はふとしたことから〈キング&クイーン〉の売買をかぎつけ、安東を追っていた、倒産寸前の貿易商である。だが、安東は殺された。しかし秘宝へとつながるキーワードは真美子が知っているはずだ。ところが記憶喪失とは……逃げる車はついに銃撃を受けてひっくりかえり、真美子は再び海の中へと投げ出されていった。 貴美子は選良く大石の青からの知り合いである楊夫人に助けられていた。その偶然に喜ぶ大石。しかし真美子の記憶は戻っていなかった。そして大石と真美子の妙な関係を訝しがった楊夫人の問い質しに、大石はとっさに実は彼女は自分の婚約者で、皇室ロマンスで騒がれている財閥のお嬢様・北白河陽子だが、身分差を支う周囲の反対と財産争いに巻き込まれ、香港まで逃げてきたと言い繕ってしまう。「私は北白河陽子で、カケオチですか」とボー然と聞き入る真美子。だが“お嬢様”という言葉に反応して、「ニッポンの……」という言葉が彼女の口をついて出てきた。大石の眼が光った。「ニ人ノ愛ガ本物ナラ記憶ハキット戻ル。日本二帰ッテ静カニ記憶ヲ取リ戻シナサイ」とアドバイスする楊夫人。さらに彼女は真美子に、身分の差を越えた恋はとても辛いものだ、でも大石はこれでいてなかなか誠実な男だよ、と優しく語るのだった。 その頃、秘宝奪還を狙う洪カンパニーの一味も二人の姿を求めて香港から日本にまで追跡の範囲を広げようとしていた。 変装させた真美子と東京に飛んだ大石は、真美子を自分の事務所に連れてゆく。大石からの連絡で真美子を北白河陽子と思い込んでいる秘書兼事務長のかおりは大仰に真美子を歓待し、記憶取り戻しに協力しようと言う。ところが、真美子のポシェットから出て来たカードキーを調べに大石が出掛けた間に、かおりと真美子は洪カンパニーの命を受けた台湾からの殺し屋・周や平田らに襲われ、真美子は誘拐されてしまう。大石の機転で彼女の奪還になんとか成功するが、真美子は何故命まで狙われるような目に会うのかが合点がゆかない。言葉巧みに真美子の疑問を解きほぐし、「僕が守り切ってみせる」とミエを切る大石。半信半疑で彼を見る真美子と大石のやりとりを、警察官を名乗るこれもまた正体不明の男・氷室が盗み見ていて、自分の出番をうかがっていた。 2対の秘宝のありかは香港? 東京?? そして真美子の記憶はいつ、どこで戻ってくるのか。香港が生み出すカオスのように、秘宝をめぐる人間達の渦がますます混乱を増してゆく……。
監督・脚本:金子修介 製作:藤峰貞利(古澤利夫) アソシエイト・プロデューサー:木村典代 脚本:高橋正康、長谷川隆 音楽:梅林茂 出演:斉藤由貴、小林薫、大沢誉志幸、相原勇、井森美幸、小野みゆき、淡路恵子 企画・原案:サンダンス・カンパニー 配給:東宝 <受賞リスト/1990年度> ■ヨコハマ映画祭 主演女優賞(斉藤由貴) ■ロードショー・シネマ大賞 邦画ベスト・スター賞(斉藤由貴) 受賞
